お散歩の儀式

最近ホシはお散歩の後、車から降りるのを拒否する。


お嬢様、お宅に到着いたしましたが。

だから何だって言うの

いえ、あの、えーと。次はるなの番なんですが。ほら、もうあそこでスタンバイしてますが。

おかえり

余韻に浸っているのか、車内が心地いいのか、はたまたるなへの嫌がらせか。足を拭いても動じない。押しても引いても動かない。

ちょんちょんしても

ぐいぐいしても

見事なまでの無視。こうなると動く見通しはつかないので、こっちはこっちで勝手にさせてもらう。つまり、ホシは車に放っておいてるなのお散歩に取り掛かる。

るなのばん？

るなの番だよ。遠慮せずにかかりたまえ。

じゃあ、えんりょなく

おじゃましまーす 

きゃー

ホシもいっしょにいく？

冗談じゃないわっ

いいにおいー　なにたべたのー

やめてよっ

ガキの相手なんかしてられないわ

ホシ　いっちゃうの

ちょっと気の毒だが、こっちもホシの気が変わるまで待ってはいられないのでね。この後るなを車で待たせて、少しだけ綱引きをしてホシのご機嫌をとる。それからやっとるなの番。るなだって、色々辛抱してるよな。

毎日がこれの繰り返し、夏になってもこのままだったらどうしよう。

いろいろ繊細なホシと、キヅカイとかエンリョは食べものだと思っているだろう、るな。るなに甘くなりすぎるとホシのストレスが溜まるし、ホシにばかり気を使うとるなが放っておかれる。扱いには注意が必要なのだ。

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